[ゼルダの伝説] ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド レビュー

ゼルダの伝説がオープンワールド化。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
対応機種:Nintendo Switch / Wii U
CERO年齢区分:B
ジャンル: アクションアドベンチャー
発売日:2017年3月3日
希望小売価格:7,678円(税込)
プレイ人数 : 1人

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド | Nintendo Switch / Wii U | 任天堂
2017年3月3日(金)発売、Nintendo Switch / Wii U『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の公式サイトです。

いつまでプレイしてても終わる気がしないので、いったん一区切りということで。

ストーリー

評価 A

ゼルダの伝説シリーズのストーリーは過去作において3つの分岐があり、本作はそのいずれの時系列に属するのかということが議論の的となってましたが、公式から出された情報によると、全ての流れの一番最後に位置することはわかったものの、分岐のいずれに属するかは明確になっていないようです。

HISTORY | ゼルダの伝説ポータル | Nintendo
「ゼルダの伝説」シリーズの舞台となるハイラルの歴史をご紹介します。

本作のストーリーをざっくりと。100年前に厄災ガノンの出現によりハイラル王国が滅ぼされ、その戦いでリンクも瀕死の状態となる。ゼルダの計らいによってリンクは回生の祠へ運ばれ、そこで回復のための眠りにつくことに。それから100年が経った今、ガノンは今もハイラル城に存在しており、ゼルダ姫の力によりかろうじて抑え込まれている状態。回生の祠で目覚めたリンクは、厄災ガノンを打倒し、ゼルダを救い出すため、始まりの大地から旅立つことになる。と、そんな感じ。

リンク自身はそんな記憶をすっかり失っており、メインチャレンジとして、過去の記憶を取り戻していくことも、旅の主要な目的のひとつとなっている。それ以外にもメインチャレンジはいくつか設定されている他、様々な地方や街、また登場キャラクターにまつわるミニチャレンジも多数あり、それらをこなすことで物語の真相に迫っていくという内容。

ただ、ストーリーは非線形で、一応推奨されるクリア順番はあるものの、それはプレイヤーが自由に選択できるようになってるし、クリアしないで進めるのも自由。何なら、メインチャレンジ一切やらずに、いきなりハイラル城に乗り込んで厄災ガノンと対峙することだってできる。このへんは究極のオープンワールドですね。本当に自由過ぎる。

ただ、せっかく用意されたシナリオをやらないのは勿体ないので、少なくともメインチャレンジは全てクリアするのがお勧めですね。特に四神獣の解放は全てやっておくと、最終バトルにかなり有利な状態で挑戦することができる。そうでなくても、四神獣にまつわる話は本作のメインストーリーなので、RTAでもやってない限りは観ておくべきでしょうね。

グラフィック

評価 S

さすがに PS4 や Xbox などのような 4K グラフィックには敵わないものの、Wii U、そして Switch において最高のグラフィックだと思う。ハイラルの風景を眺めながら走り回ってるだけで楽しいです。

遠くにみえる祠やシーカータワーも、ちゃんとそれとわかるし、近くの草木や岩などのテクスチャも、水面の描画も非常に綺麗。オープンワールドでずっとシームレスに描画されてるけど、遠影と近影の切り替えはどこかで行われてるはずなんですよね。でも全くそれを感じない。モンスターとの乱戦になっても、それほど重くなったりということもなく。

グラフィックが綺麗というだけでなく、オープンワールドを実現する描画の調整も素晴らしいと感じます。

サウンド

評価 A

フィールドBGMは自然音に近い感じで、その場所に応じた短いフレーズの曲があてられ、それが状況に合わせて流れるように変化していく、いわゆるインタラクティブミュージックというのが秀逸。

従来のゼルダでは、しっかりとしたフィールドBGMやダンジョンBGMがあり、時オカ、トワプリあたりから、昼夜のBGMやバトルBGMがシームレスに切り替わるような手法になってたんですが、本作では、これがフィールドBGM、これがバトルBGMといった曲があまりない。

これは文章で説明するのが難しいのだけど、短いフレーズの曲を時折流すような感じで、例えば平原では暖かで穏やかな雰囲気を演出し、寒冷地では凍てつくような雰囲気をつくり出し、モンスターが近づくと不穏で焦燥感を誘うような感じに変化していく、みたいな。このへんの工夫は、改めて意識しないとスルーしがちなところなんだけど、むしろ、だからこそ、これぞプレイを演出するために存在するBGM、それを意識させない背景音楽の最終到達点でもあるのかなとも感じました。

もちろん、中ボス戦やカースガノン戦のような要所要所ではちゃんと長いフレーズのBGMがあって、ちゃんとその戦いを盛り上げてくれる。イワロック戦やヒノックス戦なんかのBGMは、そのメロディーをソラで口ずさめるほど印象に残ってますね。

キャラクター

評価 A

ゼルダの伝説といいながら、ゼルダ姫は最終盤までほぼ絡んでこないというのは、シリーズ定番ではありますね。今作は、ときどき天の声でリンクに語りかけてきたり、メインチャレンジ「ウツシエの記憶」を進める中で過去にリンクとイチャついてる様子などを観ることができますが。

本作のキャラは、主要なところだけでも、始まりの大地で出会うハイラル王(の魂)、カカリコ村のインパ、リト族のテバ、ゴロン族のユン坊、ゾーラ族のシド、ゲルド族のルージュ、そして四英傑、アッカレ研究所のプルア、ロベリーなど、あげていけばキリがないほど多数の登場人物がいる。そして、それら全てが特徴的かつ重要な役割があって、どこの誰だっけ?とか、いたのは覚えているが名前が出てこない…みたいな、登場人物がインフレするゲームでありがちな混乱が、本作にはほぼないんですよね。これも地味にすごい。

ところで、本作の登場人物に対するネットの反応をみてると、四英傑のひとり、ゾーラ族のミファーの人気が高いんですよね。私もその例外ではなく、ミファーさんカワイイなと思っちゃったひとりなんですが、ゾーラ族って見た目がほぼ人外じゃないですか。半魚人というか。しかも、今は実体がない魂だけの存在なんですよね。であるにも関わらずこの人気というのは、キャラの中身のデザインが見た目を凌駕してるということでしょう。

そういう観点で他のキャラもみていくと、実はミファーに限らず、全てのキャラについて中身から緻密に設計されてる。だからこそ、それぞれキャラがしっかり立ってるんだろうなと、改めて思いましたね。

ところで、本作のリンクは、実は初めて「リンク」という名前に固定されたということになるらしい。今までは、デフォルト名がリンクではあったものの、その名前はプレイヤーが自由に決められたんですよね。ボイス入りになったことによる都合といわれてますが、個人的にも、そして一般的にも、彼はリンクで定着してると思うので、これはこれで良いのではと。

あと、従来のリンクは、緑の装束に三角帽というスタイルが定番だったのが、本作のリンクはそのスタイルにこだわらなくなっている。いろいろな装備をつけられ、それに応じた見た目になるんですよね。ただ、その中でも象徴的な装備はおそらく「英傑の服」だと思われるけど、これも緑ではなく青色なんですよね。これについては、公式も本作は今までのゼルダシリーズから一新したいという意図があるそうで、あえて変えてきた部分のひとつなんでしょう。

バトル

評価 A

バトルで基本となる操作は、ZLで注目からの、近接武器での攻撃、盾でガード、ジャンプでの回避。あとは弓による遠隔攻撃。これらを組み合わせることで、連続攻撃、ため攻撃、ガードジャスト、ジャスト回避からのラッシュ攻撃など、かなり多彩な戦い方ができるようになってます。これらの攻撃と、相手にあった武器を選ぶことで、そのバトルを有利に運べるかどうかも変わってくる。

あと、武器には、炎、雷、氷の属性を持つものがあり、これも敵に合わせて選択しないと苦戦することもあるし、武器以外にも、マグネキャッチやビタロックなどのシーカーアイテムを駆使すると、普通にやるより楽に倒せたりもする。特にボス戦は、属性やシーカーアイテムを使うとうまくハマるようななバトル設計になっていたりもするので、この辺も一種のパズル要素として楽しいところ。

ただ闇雲に武器を振るでも勝てなくはないけど、相手によって戦い方を工夫していくのも、本作のバトルの醍醐味でしょうね。そして、最も効率の良い戦い方というのはあるものの、正解の戦い方はひとつではなく、どんな風に戦ってもそれで勝てれば正解という自由度の大きさもある。遠くから弓でチクチクやるのもアリだし、相手に気づかれないところからリモコンバクダンを投げたりするのもアリといった懐の深さもあって、その戦い方は無限にあるなと。

そんな感じでホント自由なので、優等生な戦い方ができないなら、自分に合った戦い方を見つけていくと良いと思いますね。

ゲームシステム

評価 S

何といってもシリーズ初のオープンワールド採用がでかい。しかも(何とはいわないけど)どっかのJRPGみたいに、見えない壁があったり、進め方次第でストーリーが破綻したりするような似非オープンワールドではなく、見えるところであればどこでも行ける、ストーリーはどの順番で進めても問題ないという、ちゃんと本物の本格的なオープンワールドです。

そして、そのオープンワールドを支えるインフラもしっかり設計されている。

高いところから長距離を滑空できるパラセールに始まり、馬による高速移動も可能、また、一度訪れた祠や起動済のシーカータワーへのファストトラベルもあり、広大な世界をあまりストレス無く移動できるようになってる。というか、ふつうにフィールドを走ってるだけでも発見が多いので、移動も全く退屈じゃないんですよね。どこか目的地があって移動している最中も、ちょっとまわりを見渡せば何か気になるものが目に入り、そこへ行くと大体何かあるので探索が始まり、さらに別のものに目移りし、いつのまにか元々の目的を見失ってる、みたいなのは本作あるあるじゃないかな。

一見到達できなさそうな場所でも、ビタロックやアイスメーカーなどのシーカーアイテムを駆使したり、食事でスタミナを補給してゴリ押しで行けたりもするので、ホント探索が止まらない。本作のメインチャレンジである、四神獣にまつわる問題を解決すると使える技が増えていくので、それでまた世界が広がったりもしますね。

あと、祠の探索とクリアも大きなやりこみ要素になっていて、世界中に点在する祠をみつけて、その中に用意されているパズルゲームを解いていくのも楽しい。その祠は全部で120もあるので、それだけやってても1日が終わる。このへんも本作が、時間泥棒とか、時間が溶けるなどといわれる所以ですね。

他にも、シーカータワー起動による地図解放、武器の所持数を増やせる要素であるコログ探し、強敵のイワロック、ヒノックス、ライネルなどの討伐、ウツシエによる図鑑埋め、各地方に用意されているミニチャレンジの数々など、システム側で用意されているやりこみ要素も多いし、プレイヤー自身で縛りプレイをしたりTAに挑戦したりなど、考え始めればその遊び方は無限に広がっていくような気がする。

本当に「何でもできるゲーム」という感じで、そういう自由さが追求されているゲームシステムになっていて、シリーズ初のオープンワールドと思えない完成度だと感じます。

総評

評価 S

個人的にこの言葉を使いすぎると安っぽくなるので、あまり使いたくはないんですが、それでもあえていわせていただくと「神ゲー」です。本作にこそこの言葉が相応しいのでは。

オープンワールドとしても、アクションゲームとしても、パズルゲーム・謎解きとしても、そのゲーム性として達成すべきことは全部クリアしてると思うし、加えてストーリーも素晴らしい。その世界観も、今までのゼルダシリーズの概念全部入りみたいな感じで、歴代ゼルダファンも満足できる内容じゃないかなと。ただ、その世界線については諸説ある状態で、公式にも名言されてないので、いまだに議論が付きない感じですが、それもまた考察が捗るという意味では、新たな楽しみが提起されたということじゃないかなと。

ということで、本作はゼルダファンのみならず、全ゲーマーに、いや全人類にプレイして欲しい作品ですね。ただ、大事な注意点がひとつ。時間が溶けます!なので、強い意志を持って時間管理しながらプレイすることを推奨します。

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