エースコンバットの最新作、やってみました。
エースコンバット アサルト・ホライゾン
対応機種:PlayStation 3/ XBOX 360
CERO年齢区分:C
ジャンル: 超音速・大破壊シューティング
発売日:2011年10月13日
希望小売価格:8,380円(税込)
プレイ人数 : 1人(オンライン2~16人)
ストーリー
評価 B
ACシリーズはずっと仮想世界が舞台になってきたんですが、このACAH(と略すことにする)は現実の世界が舞台になってました。ロシアとかアメリカとか、そういう国が実際に登場してくると。まぁ、当然フィクションですが。舞台が現実世界になったのは今作が初ではなく、PSP版のエースコンバットX2が現実世界が舞台になってたか。今後は現実世界路線で行く感じなんですかね。
今作のストーリーなんですが、ロシア軍部の一部の人間がクーデターを起こして、世界を相手に戦争に打って出てくる、というような内容。その野望を打ち砕くべく、連合軍がこれに対抗すると。主人公のビショップはNATO軍所属で、なし崩し的にこれに参加する感じですが、クーデター軍側にいるある人物と因縁もあるような感じか。
舞台が現実世界になったといえど、流れとしてはACシリーズ定番のストーリーかもしれません。
グラフィック
評価 A
ACシリーズは、ときのゲームハードで最高のグラフィックを追求してきたという歴史もあり、今回もそのご多分に漏れずですね。航空機や兵器ばかりじゃなく、背景も実在の世界各地が舞台になっているので、結構細部まで描きこまれてるようです。
が、そんなのノンビリと眺めてられないゲーム内容なので、これは後でEASYモードあたりでゆっくり観てみようかなと。モスクワとかドバイとか、観光パンフなんかで見る地形や名物っぽい建物もチラチラとみえては「すげー」とか思ってはいたんですが、油断してるとすぐ落とされます。
今回、ジャンルに「大破壊」なんてあるように、いろいろなものが破壊される描写に凝ってるらしい。特に航空機が破壊される様子に入れ込んだとのことで、いわれてみれば、確かに今作のは今までにない演出だったかも。というか、後で書きますが、今作で導入されたDFM(ドッグファイトモード)というやつが斬新過ぎというか、これ最早ACじゃなくね?っていうもので、これで敵機を撃墜すると、それが破壊されていく様子が目前で見せつけられる感じになる。
今までのACでは、どちらかというとフライトシミュレーションに近い感覚だったんですが、今作はいわゆるFPS、TPSに近い感覚。撃ち落とした敵機が目の前で爆発霧散していく様を見届けられるような感じで、確かにこれは「戦闘機のスプラッター」という感じですね。
サウンド
評価 A
個人的な感覚ですが、今作はどこか西部劇を思わせるというか、ハードロックな西部劇というか、そんな印象でした。ACシリーズのBGMはどの作品も名曲ばかりですが、今作は特に、疾走感というか、壮大感がすごいです。ハリウッドのアクション映画でずっとクライマックスを観てるような感覚。
というか、今作の内容自体も、20世紀FOXっぽいというか、コロンビアっぽいというか、ワーナーっぽいというか、まぁハリウッド風なのでマッチしてますね。主人公もアメリカ人だし。
バトル
評価 B
今作の戦闘システムは、これはかなり評価が割れると思う。従来のAC1~6までの常識をぶち破ってるというか、先にも書きましたが、今までのACはフライトシミュレーション兼シューティングみたいな路線だったのに対して、今作はその要素も若干残しつつ?それとは全く別の新しいシステムが導入されていて、これでほとんど別のゲームになってしまってた印象。
そのシステムというのが、問題のDFM(ドッグファイトモード)。ドッグファイト自体は従来のACでもやってたことだけど、今作のDFMは、通常の空戦モードとは別のモードに切替わって、敵機の背後にピッタリくっついて撃ちまくるモードになる。いきなりチュートリアルでこのモードに入られたときは、「これACじゃねーだろ」と声に出してツッコミ入れてしまった。空戦にDFMがあるように対地攻撃でもASM(エアストライクモード)とかいうのがあって、密集した一連の地上ターゲットを指定コースを飛んで連続で破壊していくというのもある。
ASMは従来ACの発展という感じではあるんだけど、DFMは、空戦でいかに上手く飛んで相手の背後を取って攻撃するかという、ACならではのテクニカルな部分が排除されてる感が。もちろん、DFMを使わずにターゲットを落とすこともできるけど、赤TGTの敵機はほぼDFMに持ち込まないと落とせないですね。
あと、今回は戦闘機ミッションだけではなく、攻撃ヘリや爆撃ミッションみたいなのもあって、これも従来のACにはなかった要素ですね。ヘリミッションは操作に慣れが必要だけど、あれはあれで楽しいかも。ただ、かなり人殺しゲーですが。何となく昨今のFPSにだいぶ影響されてる気がした。これはこれで、ACとは別のゲームだと思えば面白いんですが、ACにこういうのは求めてなかったかも。
キャラクター
評価 A
従来のACは大体ブリーフィング画面のみで進行するんだけど、今作はキャラクター性のある人間がガチで登場してきます。キャラ色が強いといえばAC3がちょっと特殊だったけど。
同じような系の作品は、AC5かな。あれもキャラクターが前面に出てストーリーが展開してましたが、進行はやはりブリーフィング画面メインだった。今回新しいのは、主人公のキャラも前にでてきてるところですね。従来ACで一貫してたのは、自機パイロットの正体というのは大体謎の人物みたいになってたり、はっきりと明かされない。まぁ、プレイヤーなんですが。ところが、今作、主人公はビショップというパイロットで、この人をプレイヤーが操作するという感じですね。
あと、空戦ミッションでは彼が乗る機が自機になるわけだけど、ヘリミッションではヘリパイロットであるロビンソンになるし、爆撃ミッションでは爆撃機乗りのリールになるし、という具合に、ミッションによってプレイヤーキャラが変わる。とはいえ、プレイヤーの視点はビショップが基本です。登場キャラは概してオッサンやオバサン(失礼)で、このへんは和製ゲームらしからぬ年齢設定ですね。どちらかというと洋ゲーっぽい。
まぁ、実在機が登場する戦争ものだし、それを映画風にすると、やっぱりこんな感じなんでしょう。(AC5のナガセみたいに23歳で大尉とか、実際ありえないですから)
ゲームシステム
評価 B
今回新しいのは、件のDFM、ASMですね。加えて、空戦ミッションだけじゃなく、ヘリ、爆撃、ドアガンナー、ガンシップといった多彩な戦略ミッションも導入されてる。という意味で、従来ACに敵機としては再三登場していた戦闘ヘリや爆撃機を今作で初めてプレイヤーが操作できる!ってことになるか。
さすがに戦車や艦船まではなかったですね。空に上がるものだけ、というところは崩さなかったと。空戦に関しては、DFM、ASM以外は、ほとんど従来ACと同じ感覚でプレイできたんですが、DFMの存在感が強すぎて、なんか別のシューティングゲームをやってるような感覚だったんですよね。
ACの伝統ともいえる渓谷ミッションやトンネルミッションも今回はなく(まぁ、それらは別になくても良いんだけど)思う存分飛びまわれるという意味で、爽快感はありました。あと、今作のキャンペーンについては達成度というのがなく、今までは各ミッションでなるべく多くのポイントを稼いで、それでより高性能な機体や兵装を購入するというシステムだったのが今回撤廃されていて、使用機体はミッションごとに決まってる感じ。
今作の操作性ですが、戦闘機など固定翼機は従来ACと同様、ノーマル操作とエキスパート操作があり、そこは踏襲されてました。戸惑ったのはヘリコプターですね。これも本物のヘリをシミュレートするような操作性なのかなと思いますが、まず射撃ボタンと上昇下降ボタンがどっちだったか、いつも混乱する。あと、上下左右に視点を振るのも何か違和感がある。慣れなんでしょうけどね。
ところで、今回キャンペーンミッションは達成度というのがなくて、とにかくTGTを潰してミッションクリアさえすれば良しというポリシーみたいで、TGT以外は撃ち漏らしても関係ない。今までみたいに、TGT以外もなるべく潰してポイントを稼いで高レートを目指す、といったゲーム性は今作ではなくなってました。
あと、最近では定番のオンラインミッションもあるみたいですが、私はそっちはやってないです。この感じだと、マルチプレイのFPS、TPSみたいな感じなんだろうなと想像しますが。
総評
評価 B
新しさを狙い過ぎてACじゃなくなってる、というのが正直な感想。これはこれで、こういう戦争アクションゲームだと思えば楽しめる作品だと思うんですけどね。「エースコンバット」としては、どうなんですかと。
確かに、シリーズも結構長いし、ミッションもマンネリ化してきた感はあったんですが。でも、だからってDFMとか新しいことをやらなくても、従来のシステムのままでもっと新しいことをやれる余地はまだ十分にある作品だと思う。それは、ストーリーで盛り上げても良いと思うし、ミッションで反則的な架空機やあり得ない構造物を登場させて、それを実在機でいかに攻略するか、といったあたりもACならではの面白さじゃないかなぁと思うわけで。
何かちょっと最近流行りのマルチゲーの枠にはめにきたようにも感じて、確かに今の時代はこういうスタイルが好まれるってことなのかもしれないけど、そこに飲まれないで、ACはACの持ち味で勝負して欲しかったな。