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テイルズオブリバース
対応機種:PSP
CERO年齢区分:A
ジャンル: RPG
発売日:2008年3月19日
希望小売価格:5,040円(税込)
プレイ人数 : 1人
オリジナルのTORは、2004年に出たPS2向けの作品。今回やったのはそのPSP版ですが、基本的にPS2版と同じ。この作品はいろいろ疲れました。
ストーリー
評価 C
好みの問題もあるかもしれませんが、まず、テーマ設定がRPG向きじゃないかなぁ、と。今作のキモは2種族間の確執や軋轢ですかね。世界にはヒューマとガジュマという2種族が存在して、お互いが種族の違いに強い差別感情を持っていると。現実世界でいうなら、人種差別問題みたいなもので、それを極端にひどい状態に表現した感じ。
話は大きく2パートに分かれていて、前半は、種族間の差別の問題はそれほど表面化してなくて、それよりも、王女様の我がママの為に世界が混乱する。後半は、王女様の陰謀をとめたのはいいけど、その際に「思念」なるものが世界中に撒き散らされて、それまで潜在していた種族感情の問題が顕在化すると。
前半はともかく、後半の問題は、単純にラスボスを倒して解決とはならんだろう?と思えるんだけど、そこに無理やり持ってってるあたりにそもそもの違和感があるんですよね。そして、このテーマを押し出そうとするあまり、作中に登場する人物(NPC)は泣けるほど荒んだやつばかり。わずかにいる“普通の人”がとても良い人にみえてしまう。
どうも全体的にすっきりしない感がつきまといました。
グラフィック
評価 B
PS2のものとほぼ変更はないようですね。ムービーなども追加はなく、秘奥義のカットインがPSP向けに若干追加された程度か。
印象としては、PS2版のTODに近いかな。街やダンジョンはカメラ位置固定のセミ3Dですが、見やすいこともないけど、特に見づらいこともないと。相変わらず、固定視点を利用した物陰に宝箱があったりみたいな意地悪は健在です。
サウンド
評価 A
今作で、私が良かったと思えた数少ない要素のひとつは音楽。街ごと、フィールドごと、ダンジョンごとにBGMがあって、曲自体も私の好みのものが多かったです。
しかし、ここまでテイルズシリーズやってくると、この曲どっかで聞いたことあるな、という曲もいくつか出てきますね。全く同じじゃないんですが、何となく似ていて、あ、桜庭さんの曲だ、というのがすぐにわかるというか。例えばミナールの曲は、TOVのカプワトリムと感じが同じで、ああ、桜庭さんの中で港町はこんな感じなのか、みたいな。
個人的には、本作のバトルBGMは、通常戦闘、ボス戦含めてどれもカッコ良くて好きです。
バトル
評価 C
私が今までやってきたシリーズの中で最高の難易度ではないかと思えたのが、今作のバトルです。
今作の特徴にもなってるのが3ラインを使ったLMBSですかね。基本は画面の横ベースの2Dで、そのラインが奥行き方向に3本あると。何となくそれで純粋な2Dのときより移動が柔軟にできるぞ?と思えるんだけど、実はさらにシビアです。従来は、敵キャラに向かってダッシュすることですり抜けて敵の後ろへ移動することができたんだけど、今作は、同じライン上の敵キャラはすり抜けできない。(敵の後ろに抜ける特技を使えばすり抜けますが)後ろに回るには別のラインへ移動する必要がある。これが、従来にも増してハマりやすくなってる感じ。
あと、MPの概念をなくして、変わりに FG(フォルスゲージ)という概念が導入されている。術技は基本的に無尽蔵に撃てるのだけど、FG を満タンにためて撃ったほうが、より効率的という感じ。どう効率的かというと、FG 満タン時に術技を使えば、最大ダメージが出る、使用者のHPが回復する、FC が成長する(FC=フォルスキューブについては後述)というメリットがあり、満タンじゃないときに使うと術技自体は出るけど、それらのメリットがない、ということ。
で、さらに RG(ラッシュゲージ)というのがあって、これは攻撃をあてたり、ダメージを食らったりすれば上がり、ガードしたりバックステップしたりすると下がる。また、意図的にこのゲージを上げ下げすることもできる。RGが大きいと、攻撃力が上がり防御力が下がる。RGが低い場合はその逆ですね。
あと、HP回復もRGに関係していて、低いほどHP回復量が多い。で、今作ではHP回復手段は、主に敵に術技を当てることで、ファーストエイドやヒールみたいな回復魔法が一切ない。一応、陣術という範囲に結界みたいなものを張ってその中に入ると徐々に回復する、という術はあるんだけど、それが使えるのはアニーだけ。そして、RGは上がりやすくてすぐ最高になるんだけど、最高になると、HPが全く回復しなくなるんですよね。特にハメられてる状態のときはどうしようもない。攻撃を食らいまくってRGを下げようがなく、回復不能になるとか。近作のバトルに関してはもっといろいろいいたいことがあるけど、あまりに多いので、以下の点だけ指摘しときます。
まず、良い点。
- 従来、セミオートだと、勝手に立ち位置を戻ろうとするけど、今作はそれがない。
- MP(TP)を気にする必要がない。
RPGのバトルでありがちなMP枯渇という問題が今回はない。
そして、イタダケナイ点。
- ガードボタンを押してるのにガードしてくれないことが多い。
むしろセミオートの自動ガードの方が効果的だったり。 - Rボタンで選んだターゲットが勝手に変更される。
選択したら固定してくれ。 - アイテム使う瞬間、少し固まる。読み込んでる?
モンスターのHP高過ぎ。ゆえに、1回の戦闘時間が長くなりがち。 - 全体回復の手段がない。そういう魔法もアイテムもない。
強力な全体攻撃を食らった後とか、どうしようもなくなる。
キャラクター
評価 C
PC、NPC含め、今作のキャラは荒み過ぎ。
まず、主人公ヴェイグは、初っ端から鬱キャラ爆発。物語が進んでいくと、それも持ち味になってくるのだけど、これは好みが割れるキャラだと思う。バトル面では、前衛としてそこそこ強いし使いやすい。
クレアは今作のヒロインだけど、なんとNPC。性格的には清廉な女性という典型的なヒロインだけど、その背景設定が薄い為に、彼女の言動の裏づけが弱い感じ。何か、彼女のセリフが、いわゆるキレイごとに聞こえてしまう。いい娘なんですが。彼女自身、あまり苦難を経験してないわりに(苦難といえば1年間氷付けにされてたことくらいか?)お利口なことを言い過ぎという感じがしました。クレアはNPCなので、バトル不参加。
ユージーンはパーティの軍師的立場のキャラ。バトルでは、魔法防御が紙だけど物理攻撃、物理防御は高いので前衛としてそこそこ使える。
マオはお子様キャラ。意味不明な歌をつくる特技がある。主に後衛から魔法攻撃をさせると強い。
アニーはサブヒロイン?とある理由で最初はユージーンを含むガジュマ全体を嫌っているが、徐々に打ち解けていくというあたりは、彼女がストーリー自体の鏡になってるキャラでもありそう。アニーはパーティで陣術が使える唯一のキャラ。火力はないけど、回復補助や蘇生ができるので、そこそこ重宝。ティトレイは典型的なお調子者役のキャラ。セリフがベタ過ぎでいちいちクサイ。あとウルサイ。攻撃が速いんだけど、突っ込んですぐ死ぬ印象が。
ヒルダは姉御的な立ち位置か。ヒューマとガジュマのハーフということがコンプレックス。ヒルダもマオと同じく後衛から魔法を撃たせると強い。PC は上記のクレアを除く8人ですかね。バトルでは、とりあえず使えないキャラというのはないけどコイツは使える!という感じでもないんですよね。
私の場合は、短期決戦でいくときはアニーを除く構成にして、長期戦ならアニーを入れて回復力を上げる感じだったかな。
ゲームシステム
評価 B
メインメニューなどは、特に使いづらい点もなし。アイテムもカテゴリごとにタブ分割されていて、ソート機能はないけど、今回はユーズアイテムの種類が少なく、最初から妥当な並び順なので苦にならない感じ。あと、用語解説やマップ情報は充実してたので、そこは良いと思いました。
成長システムは、普通にレベルによる段階成長。あと、武具をエンハンスするという要素があるんだけど、このシステムを理解するのに最初苦労する。そのエンハンスもいちいち面倒。ポイントを1ずつしか振れないし、結構忘れがちになる。エンハンスした武具を新たに入手した武具に継承できるけど、これも何がどう継承されるのかよくわからない。
バトルに関しては上記のとおりだけど、今回、従来あった術技のカウントに相当するポイントがフォルスキューブ(FC)の成長という概念になっている。術技を数使うと、その術技自体が強化されるのではなく、そのキューブで術技に割り当てた効果が強化される、というちょっと解りづらいシステムになってる。このFCは、考えて成長させれば有利に戦えるかもだけど、特に何も考えず適当に設定してもやっていけるので、システムは面白いかもしれないけど重要性もない気がしました。
今回は、回復魔法がないので、結果的に食事が結構カギになる。食材は街に来るたびに持てるだけ買っとくのが良いですね。こういう解決方法で正解なのかはわからないけど、回復手段が乏しい本作においては食事の重要性が高くなっていることは間違いなく。
コレクション要素は、バトルブックの各一覧くらいかな。モンスターは、スペクタクルズとかはないので会っただけで一覧に収録されるみたい。サブイベントは時限ものが多く、普通にやってたら全部コンプするのは難しいですね。
今回一番気になったのが、移動がすこぶる遅いこと。シャオルーンも速いとはいえない。というか、移動中にカクカク止まるのはどうなのか。このために各地方を巡回するのがかなり億劫です。加えて、各ダンジョンの最奥に入り口へのワープがない!なので、ダンジョンは必ず来た同じ道を引き返すことになり、それがまた面倒で仕方がない。海のお宝を引き上げるサルベージも、一体どこまでやれば感が。マップ上でカーソルを合わせるのもアナログパッドなので非常に合わせづらい。そこは十字キーでしょうと。
それと、イベントスキップができないのも難点か。戦闘の難易度が高いので、結果的にボス戦なんかは何度も同じ相手とやることになるんだけど、その前のイベントも何度も見ることになるんですよね。
総評
評価 C
私が今までやったテイルズシリーズで最高に難しかった、そして、疲れました。
ストーリーも、率直にいってあまり面白さを感じられず、終始鬱だったのと、とにかく世界設定がどこか無理やり過ぎる。何というか、種族の差別問題というテーマが先にあって、それが無理やりRPGの正義と悪の戦いにこじつけられた印象。ユリスの登場も、何だか唐突に感じたんだけど、それは、世界設定自体が無理目だったからじゃないかと。
そして、何といってもバトルが厳しい。TOD2のときも、これはきつい!と思ったんだけど、今回はそのTOD2以上の鬼畜さを覚えました。3ラインは良いとして、敵キャラが壁になる(すり抜け不可)というのが、2Dバトルのハマリ度を増長してる気がする。
サブイベントをこなすのも、移動が遅いのでやりづらいし、ディスカバリーとか称号とか、いくつかサブ要素もあるけど、それをやることによるゲーム上の利益はあまりなくて、完全にやりこみしたい人向けの要素になってる。
何となく、ゲームのつくりが全体的に不完全という感じ。この作品はいろいろ評価が分かれてるみたいだけど、私の肌には合いませんでしたね。難易度やシステムもそうだけど、ストーリー重視な私としてはその内容にあまり魅力を感じなかったというのが大きいかな。単純に新感覚のバトルを楽しみたい、あとコレクション要素好きという方には、このTOR、お勧めかもしれません。
唯一、本作の癒やしは、ピーチパイのポプラおばちゃんかな。