タイトルからして何のパロディかと思ったけど、そういうわけでもなかった。
逆転検事
対応機種:ニンテンドーDS
CERO年齢区分:B
ジャンル: 推理アドベンチャー
発売日:2009年05月28日
希望小売価格:5,040円(税込)
プレイ人数 : 1人
ストーリー
評価 B
今回は、主人公が弁護士ではなく検事。でも、舞台が法廷ではなく現場になってるので、検事である、ということはあまり重要ではない気が。検事、というよりは、御剣怜侍を主人公として、その彼がいろいろな事件に巻き込まれていくというのがその筋書き。
御剣というのは、逆転裁判(の1~3)の主人公、成歩堂龍一のライバルとなっている検事。なぜか彼がファンの間で絶大な人気を得ていて、今作は、そんなファンへのサービス的な意味もあるような気がしますね。今回、その成歩堂龍一は一切登場しませんが、前作までの馴染みキャラは何人か登場してくる。逆転裁判4で、3までのレギュラーキャラがほとんど排除されていたことが一部のファンの間で不評を買っていたので、ここでガス抜きしとこう的な意図もありそうな。
てことで、今作は逆転裁判1~3までプレイしてる人向けですね。そうでなくても、単純な推理ゲームとして今作だけでも遊べないことはないけど、1~3からの登場人物やいくつかのネタがわからないってことで、面白さは半減かも。
さて、そのストーリーですが、全部で5章立て。例によって第1話は、ジャブ的な内容で短め。2話~4話が大体同じようなボリュームで、第5話が強烈に長い、という感じ。それぞれの話はバラバラなようで、実は背後にある大きな陰謀のようなものでつながってる。その黒幕を、検事御剣が騒動に巻き込まれながら徐々に解明していく、というのが流れ。クリアしてみると、なるほど、という感じ。
グラフィック
評価 C
対応ハード的にもグラフィックを求めるゲームじゃないので。今回は、実際に現場でキャラを動かして操作するので、そのときのキャラ絵があるのが従来と違うんだけど、これがまた一昔前のストリート格闘ゲーム的な絵で、微妙に間抜けな感じが。特に、御剣が指差して何かいう場面とか、立ち位置によっては指してる方向が違ってたりして、ちょっと笑った。
あと、気になったのが、やたらと画面がフラッシュすること。緊迫した雰囲気を出したいのはわかるんだけど、それにしても、ちょっとした会話の強調ポイントでいちいち画面がちらつくので、さすがに目が痛い。他に、ゲームに支障があるかどうかということでは、推理を運ぶのに、ちょっと小さくて見づらいかなという絵も何点かあったけど、概ね難はない程度か。ちと年寄りの目には優しくないかも(?)です。
サウンド
評価 B
前作までのBGMの使いまわしも何点か。GBA時代の音源ほぼそのままな曲もあるけど、このシリーズではレギュラー化したような曲もいくつかあるので、これはこれで良いです。ただ、証言中、追及中の曲は毎回新曲なんだけど、今回のそれらは、ちょっと切迫感がないかなーという気もしました。証言中の曲は良いとして、追求時の曲ですね。好み的な話になるけど、ちょっと軽い気がした。悪くは無いですが。ある意味、これらの曲は、これはこれでこのゲームの雰囲気を決めてる感じ。
キャラクター
評価 A
完全無欠であるはずの御剣が主人公になっちゃうと、あまりプレイヤーがヘボできない雰囲気になるんだけど、まぁ、なんとか彼のアイデンティティを保ちながらミスする感じになってたかな、と。御剣の助手的な位置につくキャラは、糸鋸刑事、狩魔冥と、今作の新キャラ、一条美雲。イトノコ、メイが助手になるというのが、ちょっと新しいと感じたかな。ミクモが、1~3でいうマヨイ、4でいうミヌキあたりの位置にすわるキャラですね。性格も言動も、ほぼ彼女たちの流れを汲む感じ。で、ライバルの位置に立つキャラとしては狼(ロウ)士龍ということになるんですかね。
今回、主人公は検事なんだけど、彼は弁護士じゃなく国際警察の捜査官という設定。その縄張り意識とか捜査に対する考え方なんかで、その対立軸をつくってるみたいなんだけど、実は、何かの理由で検事という職に恨みを持っているということですったもんだという感じですかね。
あと、アカネとかマコとかハラバイなんかが4へのつなぎ的な感じで微妙に登場してくるんだけど、個人的には、アウチ検事をもうちょっと出してあげもいいんじゃないかと思った。「逆転検事」なのに、逆転裁判のレギュラー検事であるアウチがあの扱いは、ちょっとかわいそう(笑)
ゲームシステム
評価 B
舞台が法廷から現場になっただけで、基本的なシステムは逆転裁判とほとんど変わらないか。まず現場を捜査して、そこで集めた証拠で相手の証言のムジュンを指摘し、追求していく。ただ、捜査パートが従来とちょっと違っていて、逆転裁判では、あちこち場所を移動して調査してたけど、今作では、基本的に現場は1箇所で動かず、そこをキャラ操作して調べていく、というもの。必要な証拠を全部を集めた時点で捜査終了になるので、話がサクサク進んでテンポは良いと感じました。
あと、「サイコロック」とか「みぬく」などにあたる今回の新要素になるのは「ロジック」ですかね。情報の断片を繋げて意味のある情報を組み立てる、という感じで、これは超能力のようなものではなく御剣の思考力、洞察力の発揮の場という感じ。これは、ちゃんと御剣らしくて良いですね。
このシステム自体も、妙なオカルト感もないので、ちょっと無理やりっぽいつながりもあったけど、純粋に推理ゲームとして楽しめました。
総評
評価 B
私も御剣は好きなキャラだったんですが、やってみて思ったのは、御剣をプレイヤーキャラ(主人公)にするのは、ちょっと無理があったな、という感想。結果論ですが。
彼は、常に冷徹で感情に流されない合理的な論理を導くというキャラであって欲しいんですが、主人公にしてしまうと、やっぱり優しさとか人間くささとか、そういうものを押し出さざるを得なくなるんですよね。で、それは何となく御剣らしくない。いや、逆転裁判でも、御剣は成歩堂に影響されて、話を追うごとに優しい面も見せるようになってくるんだけど、基本的なキャラ設定として、その冷酷さは維持されるべきだと思う。ベースは血も涙も無いヒドイやつ、なんだけど、そんなヒドイやつが、チラッと見せるイイヤツっぷりというのが良い。それが御剣というキャラだと思う。これは私の希望的観測ですけどね。で、そういうのは、敵役か脇役なんかで魅力が出るキャラであって、主人公には向かないんじゃないかな、と。
ただ終わってみれば、御剣というキャラのイメージがが変わってしまった感はあったものの、これはこれで悪くはないのかなとも思いました。