順番でいけば、次はこれかなと。
テイルズ オブ デスティニー 2
対応機種:PSP
CERO年齢区分:A
ジャンル: RPG
発売日:2007年2月15日
希望小売価格:5,040円(税込)
プレイ人数 : 1人
オリジナルは、2002年秋に発売されたPS2版。今回プレイしたPSP版はリメイクですが、内容的には移植に近い、ほぼオリジナルと同じようですね。
ストーリー
評価 C
どうも、いつにも増して(?)無理やり感が強い。
まず、主人公カイルが旅に出る動機が漠然とし過ぎ。そのとき解決すべき問題が特にあるわけではなく、「英雄」になるんだ、というカイルの子供じみたワガママだけで旅立ってるような感じ。途中、出るべくして悪人っぽいのが出てくるけど、それがカイルの旅立ちの理由とつながっていない。旅していたら、何となくそのいざこざに巻き込まれた、というか、首を突っ込んでみた、みたいな。
そんな感じで、ほぼ全ての話の起点がカイル(とその一行)のワガママから始まってるので、それ以降の展開がどうも無理やりくさいと。あと、全体的にみた場合、人の幸せとは何か?というのが大きなテーマみたいになってるんだけど、これはラスボス側より主人公側の主張の方が正しいのだ、という流れになってるんだけど、なぜ?という根拠に乏しく、これも何か押し付けのようなものを感じました。
グラフィック
評価 B
ドット絵や3Dの描画自体はキレイで問題なし。挿入ムービーの質も専門の制作会社(Production I.G)に出してるだけあって、さすがです。
問題は視点、というかオブジェクトの配置。ちょっと街やダンジョンが見づらい印象ですね。というのが、視点固定なので、操作キャラが建物の陰に隠れてしまうことも多々ある。まぁそれはいいんだけど、例えば、街の外へ出る道とか、隠し通路とかじゃなく、順路のような道まで物陰に隠れてたりするのはどうかと。アイグレッテとかね。
あと、これはバトル時だけど、晶術を使うキャラにいちいちズームする。バトルを盛り上げる為の演出なんでしょうけど。初回発動時に1回ズームする程度なら良いんだけど、毎回となるとちょっと煩わしく感じる。これ、カスタマイズで切れるかと思ったんだけど、それもなし。それらしい設定(「戦闘オートカメラ」というやつ)もあったんだけど、これをオフにしても状況変わらなかったですね。
サウンド
評価 A
これは文句なしです。良曲ばかり。街、ダンジョンの曲も雰囲気出てるし、バトル曲は物語進度によって変化していくし、その曲数も十分多い。個人的にも好みの曲が多かったです。
バトル
評価 C
基本的にはTODのLMBSなんだけど、ちょっとそのシステムの発展のさせ方に疑問が。
今回は、物理攻撃(術技)はSP、晶術はTPを消費するというシステムなんだけど、例えばSPが減ってくると、攻撃、防御共に弱体化するという、随分リアル志向な仕様になってる。つまり、調子に乗ってバンバン攻撃してると相手にはガードされやすくなり、防御も弱くなるので反撃を食らいやすくなると。これだけで、かなり戦闘の難易度を上げてる気がする。
あと、術技を使うとTPとSPの両方を消費する。なので、TPかSPどっちかが底をつくと、術技が使えない。SPが0になると、術技どころか通常攻撃もできなくなる。TPはまだグミなどのアイテムで回復できるけど、SP回復はとにかく耐えて待つしかないというシビアさ。要は、愚直に攻撃してるだけでは勝てない仕様。それにしてもやり過ぎじゃないの?てのが素直な感想。
そんな仕様に加えて、とにかく敵強過ぎです。いわゆる脳筋的なモンスターが少なく、晶術やそれに準じる特殊技を使ってくるやつばかり。これが非常にやりづらい。さらに、敵ガードし過ぎ。特に後半。ただ殴るだけでは、基本的にガードされる。そのガードは晶術で崩すことができるので、まず晶術で崩してから叩くという手順になるんだけど、これが毎度だとすこぶる面倒い。しかも晶術までガードされる相手だと取り付く島が無い!特にボスにそういう反則なやつ多過ぎ。
また、今作は右が前、左が後ろの概念がある。敵の後ろに回ってしまうと、仲間と孤立して精神的に弱くなる(?)とかいう理由でTPやSPの回復が遅くなるとか、どうなのこれ。敵の背後をとって挟み撃ちになってるんだから、むしろ精神的優位にくるべきなんじゃないのかと。
そして、戦闘導入はランダムエンカウントなんだけど、これがほぼ等間隔にエンカウントする。これで出てくる敵が毎回強いからうざいうざい。今回、サイドアタックやバックアタックがないというのがまだ救いですよ。これでバックアタックとかあったら目も当てられない。
あと、秘奥義。演出は派手だし、SP全部消費する究極の必殺技なのに、その威力が悲しいほど弱い。エンシェントノヴァとか晶術の方がよっぽど強いです。とにかく、システムが難しい上に敵が強いという二重苦で、今作はとにかくバトルがキツくて疲れました(特に後半)。
キャラクター
評価 B
個人的な感想だけど、どうも自己中というか、いわゆるDQN感強めなキャラが多い気がしました。
そのDQN筆頭が主人公カイル。まず、オレが英雄だみたいなジャイアン的発言を恥ずかしげもなく豪語する性格で、最初かなり痛い。話が進むにつれ徐々に精神的成長がみられるも、基本的に自分は間違ってないと思い込んでいるその厨っぷりは最後まで健在。そして、そのバカっぷりを良しとする周囲。その「カイルらしい」ことが良いとされているのね。要は、彼のそのおバカを諭すキャラが事実上いない。
今作の主人公相棒キャラがロニ。このロニがそのカイルよいしょキャラの筆頭。もう最初からカイル万歳です。かつ、自身の性格もどうも芝居掛かり過ぎ。本来このポジションのキャラが、主人公の暴走を抑制したりツッコミ役にまわったりするものじゃないのって思うんだけど、ロニは駄目でした。
ヒロインのリアラは、最初カイルに冷たいんだけど、途中あるイベントをきっかけに手のひらを返したように不自然なほどカイルにベッタリになる。人の考え方ってそんなにくるーっと180度変わったりするものなの?っていう。ただ、このリアラが今作のキャラの中では一番まともな性格かもしれない。
そしてジューダス。彼は、あの彼ですね。口調こそTODのときのように冷たく辛辣な感じだけど、性格は温和になってる感じで、彼もまた何だかんだいいつつもカイル支持者。
あと、ナナリー。おそらく一番その存在の意味が薄いキャラですね。ストーリー上も、バトルでも、いてもいなくても良い感じ(ヒドイ)
最後のPTキャラ、ハロルド。彼女は無理矢理&反則展開の原動力になってるので、ストーリー上は欠かせないキャラでしょう。バトルでも晶術使いとしてかなり使える良キャラ。性格は科学者にありがちな変わり者ということだけど、割りにマトモな発想をする感じ。他が濃いから、比較でそう思えるのかもしれませんが。
今回、前作TODのキャラも全員声付きで登場してくるので、ファンには嬉しいかもしれませんね。
ゲームシステム
評価 B
バトル以外のゲームシステムは、ほぼTODのPS2版と同じ感じにまとまってました。
今作のオリジナル要素としては、「リファイン」というレンズを使ってアイテムを良質化するというのがあります。これが本作のアイテム生成要素ですね。ただ、リファインせずとも、そのリファイン済みのアイテムをモンスターが頻繁に落としたりするので、実際それだけでコトが足ります。それらをさらにリファインしていけばもっと良いものがつくれるみたいですけど、まんまでも十分使えるので。
サブイベントは、今回あまりない感じ。いや、あるにはありますけどね。闘技場とか、武具の素材集めとか、トレカとか。ただ、どれもやってもやらなくてもどうでも良い感じ。こと今回の私の場合はひとつもやらなかったです。あと、シリーズ定番の図鑑などもちゃんとあるので、やりこみ要素は十分でしょう。
総評
評価 C
ゲーム的には、面白い部類なんだと思います。ただ、ストーリーの無理やり感と、キャラの魅力が薄い(というか賛同しづらい)のと、バトルが辛く激疲れる、という三拍子により、ちょっと、というか、かなりマイナス評価で終わりました。TODの続編としてはアリかもしれませんけどね。
とりあえず、テーマの設定が間違ってるかも。幸せとは何か?それは神に決められるものでもないし、当然その考え方は人それぞれ。それを主人公たちは、ラスボス側の主張を「お前のいってるのは幸せじゃない!」といってオレたちが正しい的な解決しようとしているあたりが、どうも私には納得いかんのです。というか、ラスボス側の主張を完全否定してるというのが、キミらいってることと違うんじゃね?みたいな。まぁそれは、ラスボスは倒すべき相手であり、その主張は否定してかからないと話が進まないというのは、RPG的には理解できるんだけど。という意味で、テーマ選定を誤ってるんじゃないかということです。
あまりストーリーにこだわりがない人なら、こういうRPGとして楽しめるかもしれませんね。ただし、バトルが半端なくハードなので(難易度「ノーマル」に設定してもハードです!)やるなら、PSP本体を倒してしまわない精神的強さをもってかかるべし。