[トラスティベル] トラスティベル ~ ショパンの夢 レビュー(クリア編)

さて、クリアしました。

トラスティベル ~ショパンの夢~
対応機種:PLAYSTATION3
CERO年齢区分:A
ジャンル: RPG
発売日:2008年9月18日
希望小売価格:7,329円(税込)
プレイ人数 : 1人

PS3/Trusty Bell 〜ショパンの夢〜 ルプリーズ | バンダイナムコゲームス公式サイト
PS3/Trusty Bell 〜ショパンの夢〜

てことで、感想とかいろいろ。あーお約束ですが、以下はネタバレ含みますので、これからこの作品をやる予定の方は注意です。

ストーリー

評価 C

本作のストーリー、これが最後までやってもやっぱり意味がわからなかった。話全体の背景となる世界観をプレイヤーがしっかり認知できないうちに、暗黙に(いつの間にか)そうだと前提されていて、その前提の上に話が進んでいく、という展開の連続という気がしました。

端的にいえば、プレイヤーが置いてけぼり。

例えば、最初ポルカは花封薬というのを売ってるんだけど、花封薬というのが何なのか全く説明がない。薬というのはわかるけど、何の薬?その花封薬がよくわからないのに、さらに鉱封薬とか登場。といったことに始まり、魔法が使えるともうすぐ死ぬ、という設定がいきなりで理解できなかったし(そういう常識の世界なのか?)トラスティ伝説というのが随所に出てくるんだけど、それがどんな内容なのか結局わからないし、(プレイヤーにはワルツがどういう人となりかは分かっているものの)ポルカたちは一度も会ったことのないはずのワルツ伯爵がいつの間にか倒すべき相手になってるし、そういうのを挙げ始めるとキリがない。そうなる過程とか理由とか、そういうのを一切省いていきなりそういうことになっている、という流れがちょっと多い気がした。

ストーリー全体も難解。物語の終盤で、ポルカとショパンは何かを悟ったような態度になるんだけど、それが一体何だったのか、クリアしてもよくわからない。そういう前フリをする以上は、最後にそれらを全部きれいに解明して、あーナルホドネといった形で終わって欲しいんだけど、この作品にはそういうのがない。

チェロの木の御神籤(白紙の籤)の意味もサッパリだし、あの婆さんの正体も全くわからんし、というか、ポルカの母親も何者なの?って感じだし、そもそも、ポルカって何者なの?ポルカが海に飛び込む意味も、その後の急展開も、最後までその種明かしがない。

あと、ラスボスが何でキミなんすか?納得できる説明なりイベントなりがその後にちゃんとあればよかったんだけど、その展開が起こるのが唐突なら、終わってみても何の説明もナシなので、プレイヤーの頭上には「?」が浮かびっぱなしなんじゃないか。私は終始「?」でした。

本作のラストは、ラスボスに勝つか負けるかで分岐するのだけど、負けたら夢オチみたいな感じになるので、やはり勝つ方がトゥルーエンドなんでしょう。その場合、アレグレットやポルカのいる世界が夢ではなく現実になった、という理解で良いのか。そうすると、ショパンはどういう存在になるのか。もう何が何やらな状態でエンディングロールを眺めることになるという。

これは、あとはプレイヤーにその意味を考えてくださいってことなんですかね。何だか最近のファンタジーや異世界ものは、結末をはっきりさせないまま終わるみたいなのが流行ってますが、本作もその波に乗ってみたってことなのか。それにしても丸投げが過ぎるのではと思いましたね。

グラフィック

評価 A

グラフィックはかなり秀逸。キャラも風景もかなり細かく描き込まれているし、陰影のつけ方も懲りすぎと思えるほど丁寧。おそらく、トゥーンシェードの作品としては私が今までやったゲームの中では、おそらく最高レベルの完成度かと。

サウンド

評価 A

音楽はさすがにこの作品のテーマだけあって名曲揃いといった感じ。全体的に上品な曲という印象ですね。ほぼクラシック楽器を使用した曲になっていて、作品としての雰囲気を壊さないように状況を盛り上げられてるといった感じ。

念のために書いとくと、BGMはショパン作曲ではないです(BGM担当は桜庭統氏)ショパンの曲は物語の節目節目で、当時のショパンの生い立ちを紹介する字幕と共に延々その演奏が流れる、という枠があります。この枠は、純粋にRPGとして遊んでる最中ではちょっと気ダルイかも。

まぁクラシックの名曲であることは確かなんだけど、ここで流れるショパンのリアル話は、ゲームのストーリー上全く関係ないのよね。ちなみに、ゲーム中に一度でも再生されたBGMはキャンプメニューから聴くことができるようになってますね。これはGOOD!

バトル

評価 B

本作のバトルは独特で、ターン制ではあるんですが、ターンが回ってくるとアクティブタイムという行動可能時間が始まり、その時間内に、移動、攻撃ができるというシステム。なので、なるべくはやく敵の位置まで移動し、時間の限り攻撃を叩き込むというゲームになる。

ただ、ボス戦になると、とにかくガードが重要になってくる。あと、ハーモニーチェインが出せるか出せないかで、戦況の有利不利が大分変わってくるというのは、全てのバトルで共通。あと、パーティクラス4あたりからガード時に反撃できたりもするけど、これはガードに徹したほうが無難な感じ。反撃ができるかどうかは運だし、マークが出た瞬間にガードか反撃かを見分けるのは、慣れてもかなり難しい。

というか、ガードのタイミングすらなかなか取りづらいから。ガードのタイミングは、キャラを見てるより、下のXボタンが有効になる瞬間を見極める方がやりやすいかもしれません。

キャラクター

評価 B

本作の世界は、ショパンが死の間際にみている夢の世界という設定。なので、登場人物もみんな夢の中の存在ということになります。ショパン自身もプレイヤーキャラですが、主人公は彼ではなく、以下の2人が中心に物語は進んでいく感じ。もちろんショパンもそこに大きく絡んでいく。

まず、アレグレットという少年が本作の主人公で、なんと泥棒を働いて生計を立てているアウトロー。ただ、全くの悪ガキというわけではなく、そうすることで街の子供たちを食べさせているという義賊的なポジション。特にビートという少年に気をかけている。

そしてヒロインがポルカ。貧しい薬売りという素性だが、その薬の代替薬が安価で出回り始めたことで、最近はポルカの薬が売れなくなり、生活が苦しくなっているという状況。また、ポルカ自身も不治の病にかかっており、その余命も幾ばくもないという、理不尽極まりない境遇。

ショパンは夢の中でそんな2人に出会い、彼らの報われない境遇を何とかしようと、フォルテの領主ワルツという人物に会って直談判しようということになる。その先で出会うキャラクターは、プレイヤーキャラクターやNPC含めかなり多いので、主要なところを端的に書いていくと、先にも書いたビートという少年はアレグレットの弟分的なポジション。道中、マーチ、サルサ(この2人は双子)、ビオラ、ジルバ、クラベス、そしてファルセットという人らと出会い、共に旅をすることになる。

キャラクターごとに扱う武器が異なっていて、それぞれの武器の特性を活かしながらバトルを展開することになるのだけど、それぞれ攻撃回数や範囲が異なっていて、その組み合わせや攻撃タイミングなどを考えながら戦いを組み立てていく必要がある。また、ビートとビオラは敵に近づかなくても遠隔攻撃ができるので、彼らを上手く使えるかもバトルのキモになる感じ。

今作の敵、というかラスボス的な相手は、フォルテの領主であるワルツという存在がそうだろう、というのは(プレイヤーには)最初から見えており、その手下たちが中ボスとしてアレグレットたちの前に立ちはだかってくるという構図ですね。

ただ、何といってもこの世界が「ショパンの夢」であるというのが本作の前提なので、そこに存在するワルツという存在も、所詮は偽りのラスボスということになり、では本当に打ち倒すべきものは何なのか、そんなものが存在するのか、というところで、意味不明のラストに繋がっていくと。

キャラ付けは悪くないと思うのだけど、本作の世界が夢なのか夢でないのか、そこが全て茶番かどうかの分かれ目なんですよね。実は夢ではなかった、ということで良かったのかな。何とも消化不良。

ちなみに、キャラの名前はほぼ音楽用語にちなんだものになってますね。アレグレットは「アレグロ」、ポルカは「舞曲」、ビートはそのまま「ビート」という感じ。ところで、悪玉の主の名前がワルツって、何か悪玉って感じがしないなーと思ったけど、もしかして、ワルツ、わるツ、悪……(以下略)

ゲームシステム

評価 B

キャンプメニューはややクセはあるものの、テイルズオブシリーズやスターオーシャンシリーズなどをやってる人であれば馴染みやすい感じ。そうでない人でも、直感的に見やすい、操作しやすいUIじゃないかなと。

成長システムなんですが、各キャラ個別にレベルがあり、それを上げていくという育成方法はよくあるシステムなんですが、もうひとつパーティクラスというものがレベル1~6まであり、これはストーリーが進行していくことで上がっていく。このパーティクラスが上がると、エコーを使った必殺技を使えるようになったりハーモニーチェインという連携技が使えるようになるなど、できることは増えるが、敵も強くなってゲーム難易度も上がっていくという、上げたいけど上げたくないレベルだったりする。

バトルについては上にも書いた通りなんですが、これも独特なバトルになっていて、最初は戸惑うかなと。とにかく、アクティブタイム中に早く敵に近づいてなるべくたくさん攻撃を叩き込むという感じ。ザコ戦は慣れればパターン化するけど、ボス戦が難易度高いイメージ。しっかりガードしつつ必殺技やハーモニーチェインを繰り出していかないと勝てないことも多々なので、そこで投げたくなる人も少なくないかも。

あと、本作はロードが長いのもやや難といった感じ。エリア移動や敵とのエンカウントからバトル開始までもちょっと長いと感じました。

総評

評価 B

ゲームとしてはやや難易度が高めではあるものの、システムは斬新だし面白い内容だと思う。ただ、ストーリーが難解。というか、伏線回収が甘いというか、少なくとも私には高度でした。ということで、何をもってRPGが面白いと思うかどうかで、本作を評価できるかどうか変わってきそうです。

ある程度自分の中で行間を読んで、直接的な描写はないけど、きっとこういうことなんじゃないか?という考察をしていける人であれば、本作はそこそこ楽しめるかもしれない。ただ、そうでない場合、いろいろ描写不足なので、おそらく多くの人にとって消化不良で終わってしまいがちな気がする。とにかく、エンディングまでやっても物語の全貌がよくわからないんですよね。特に最後、ショパンはどうなったのか、ポルカは何者なのか、結局トラスティって何だったのか、みたいな疑問は多くのプレイヤーが持ったんじゃないのかしら。

あとの要素、グラフィック、音楽、バトルシステムなど、他の要素はとてもよくできていると思うので、純粋にこういうゲームとして遊ぶなら、それなりに楽しめると思う。何か今までと違った感じの全く新しいRPGをやってみたい、という人にはおすすめかもしれません。

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