今更ですが。テイルズやるからには、やっぱり原点にも触れておこうということで。
テイルズ オブ ファンタジア
– フルボイスエディション –
対応機種:PSP
CERO年齢区分:A
ジャンル: RPG
発売日:2007年8月9日
希望小売価格:5,040円(税込)
プレイ人数 : 1人
このTOPがテイルズの記念すべき第一作目。初出は1995年12月で、スーパーファミコンのタイトル。95年12月といえばドラクエ6が出た時期。すっかりDQの影に隠れてしまったシリーズの船出だったけど、TOPは今やってもそれなりに楽しめたので、当時(SFC)市場に出ていたゲーム群を考えれば名作といって良いと思う。(でなければここまでシリーズ化してないはず)
TOPはその後PSやGBAにも移植されて、今回私が手を出したのは、一番新しいPSP版。PSP版はオープニングアニメと声が追加されたリメイク版ですが、ゲーム内容は大体原作に沿っているようです。ちなみに、PSP版は今はthe Best!として出ているので、上記定価よりも安く買えますよと。
以下、ちとネタバレ含むので、これからこのゲームをやる予定のある方はご注意ってことで。
ストーリー
評価 B
深く考えなければ面白い。時間を超えた物語というのは、当時としては多分新しい方のアイデアだったはず。
本作では、現在(主人公の世界)、過去、未来と、ラスボスを追って時間移動しながら物語が展開するわけだけど、最終的に決着がつくのは未来の世界なんですよね。その関係上、本来ならそのボスを倒す未来の時点までは、まだ問題が解決していない状態でなければならないはず。主人公たちは、現代、そして過去へ帰って物語が終わるのだけど、そこはまだそのラスボスが健在のはずの世界なんですよね。というのが、ゲームクリアしてみてまず思った感想なんですが。
そこを解決する糸口を見るとすれば、主人公が使った時の剣というのがカギってことになるのか。その剣で倒せば、その相手は全ての時間線上から消滅させることができる、みたいな。ただ、それにしても、時間を超えた操作ということになれば、何らかのタイムパラドックスが発生してくるので、ここは “深く考えない” べきなんでしょう。きっと。
そういう矛盾を無視すれば、話(の概念)自体は面白かったと思います。
TOシリーズの話って、正義と悪がはっきりしない曖昧なテイストなんですかね。ここまで私がやったのはTOV、TOS、で今回のTOPの3つなんだけど(やる順番間違ってる気がしなくもないが)そのいずれも、何となく似たような展開な気がする。ラスボスとなる何者かは、全くの悪玉ではなく、かつては勇者だったり、実は世界を救おうとしたりするのだけど、何らかの理由で人間社会には相容れない行動を取っているために、最後は主人公たちの手によって成敗される、という流れ。善玉と悪玉がはっきりしてるよくあるRPGの図式ではないので、やる人によっては分かりづらかったりするかもしれないけど、こういうのは最近ならウケが良いのかもしれない。
あと、このTOPで出てきたキーワードの多くは、他のTOシリーズでも別の形ではあるけど結構使われていたので、なるほど、原点はこっちだったのね、という合点もいったり。やっぱりナンバリング(というかTOの場合は番号がないから発売された)順番にやった方が良いのかも。
グラフィック
評価 B
基本的にSFCタイトルのリメイクなので、本当はここは求めたらダメなところではあるんですが。95年当時のSFCタイトルのクオリティを考えれば、DQ6やFF5、FF6あたりには張れると思うので(DQはグラ勝負はしてないけど)こんなもんではないかと。
贅沢をいえば、折角PSPでリメイクするなら、例えば、DS版FF4みたいに3Dキャラにアップグレードされたりしても良かったかな、とか。ただ、過去の名作を3D化して旧来のファンのブーイングを買うなんてことも多々あるので、これはこれで無難だったんでしょう。
オープニングムービーは、たぶんリメイクで作り直されてるんだと思いますが、これはさすがのテイルズアニメって感じですね。
サウンド
評価 A
私の感じる限り、ちゃんと雰囲気にマッチしてる選曲で、うるさくなく、飽きない。全体的に良曲です。決していまどきの曲ではないけど、当時のSFCのRPGって感じですね。
途中、小イベント(?)のサクラバの演奏が長いのはご愛嬌?しかしあれは中断できてもいいんじゃないかと思ったのは私だけじゃないはず。絶対聴いて欲しいってことなのか。
ちなみに、オープニング「夢は終わらない」を歌ってるのが、SFC版の吉田由香里さんから、PSP版ではよーみさんに変わってるとのこと。というか、SFCで歌入りのオープニングだったというのは、ちょっと衝撃かも。
バトル
評価 C
LMBSの元祖がこれですね。攻撃の仕方や必殺技の出し方などは、基本的にTOシリーズで一貫している操作方法。それ自体は難しくなく覚えやすいのだけど、TOPは2Dの横一線なので、PTの隊列と前後の配置がいろんな意味でネックになってくる。
画面左に味方キャラ、右に敵キャラというのが基本配置で、多くの場合そうなら良いのだけど、バックアタックや挟み撃ちになると途端にツライ。その場合、後ろ(左)に配置したキャラが最前線になる。前衛はその後方、つまり左に向かって攻撃しなきゃならない。のだけど、前衛が左に移動すると、後衛キャラも律儀に隊列を守って左に移動するので、後衛がどんどん敵方へ特攻してしまうんですよね。しかも、敵に接触すると殴ろうとする。お前は殴る役じゃねーよと。で、そのバックアタックや挟み撃ちが、たまーにとかならまだ良いのだけど、通常のエンカウントと同じくらいの割合で発生する。しかもランダムエンカウントだから避けようがない。
あと、操作キャラは常にセミオート操作なんだけど、これもいただけない。一度攻撃すると再び元の位置に戻ろうとする。これがすごくやりづらい。前に出てガンガン攻撃してるうちは戻って欲しくないので、方向キーを前方に入れっぱなしで攻撃するのだけど、その状態で必殺技を出そうとすると、その方向キーに対応した必殺技が出てしまうので、意図しない技が出てしまったりする。相手は空中にいるのに秋沙雨とか。
そして、操作キャラ以外はCPUが動かすのだけど、これがちょっとオバカ。一応、作戦は決められるのだけど、例えば「術技をほどほどに」といっているのに、ガンガン強い魔法を繰り出したり、「命だいじに」といってるのに全然回復してくれなかったり。アーチェはまだそういう子だと諦めもつきますが、ミントのアホの子っぷりには閉口する。瀕死の味方がいるのに敵殴ってるとか。
TOPのCPUは基本的に信頼しちゃいかんようです。あくまでマニュアル操作の補助程度に考えておく方が精神衛生上も良い。ゆえに、マニュアル操作忙し過ぎです。(指痛いよ)
とまぁ、いろんな意味で問題のある仕様ですが、このバトルシステムは初めての試みということで、仕方ないってところでもあるのかな。これを体験すると、TOSやTOVのシステムがいかに改善されたものであるか実感できます。
キャラクター
評価 B
主人公のクレスは、よくある熱い性格の青年。一本槍の単純バカですかね。そりゃ酷いな。私的にはちょっと納得いかない屁理屈こねるけど、一般的なヒーローイメージそのままではあるので、わりと広くウケるキャラだと思います。
ヒロインのミントは、清楚で物静かな女性。見た目ナースまんまで、ロールがわかりやすくて良い。本当は魅力的なキャラなんでしょうけど、バトル時のCPUのバカっぷりのせいで、私の中であまり良い印象がなく、ちょっと報われないキャラかも。
この2人の男女関係だけど、そういう演出はあまり表面には出されていないものの、まぁそうだろうなという流れは見て取れる。
ちょっともったいないと思ったのは、藤林すず。彼女を仲間にしなくても、ゲーム本編はクリアできてしまう。仲間にするどころか、忍者の里のエピソードに絡まなくても、本編だけはクリアしてしまえる。すずはSFC版では仲間にできなかったみたいですが、せっかく仲間にできるようになったのなら、もうちょっと本編に絡むようにしても良かったんじゃないか、と思った。
私なんか、すず抜きでラスボス直前までいって「アレ?キャラもうひとり誰かいなかったっけか」と思い出して、攻略サイト見て仲間の仕方を知ったという、何ともドロロ的な存在というか。良いキャラなのに。かわいいし。
ちなみに、私は、クレスたちよりも、ダオス(ラスボス)の方に同情してしまいまいました。これTOシリーズあるあるだったりしませんかね。
ゲームシステム
評価 C
このTOPのキャンプメニューは、アイテムのソートに難があります。TOSやTOVのアイテム一覧が種類ごとにタブで分けられていたのが使いやすかったので、それに慣れていたせいもあるかもしれないですけど。TOPはタブはなく、全部1画面にベタっと表示。ソートは一応種類ごとにできるけど、アイテムが増えてくると上下のカーソル移動が億劫(まぁ、当時のゲームでいえばFFなんかもそうなんだけど)。それ以外のメニューは、普通に使える感じか。
マップは凹凸のある2Dだけど、L、Rで回転もできるので、死角ができるという問題は解消できてますね。ただ、画面右下のマップの範囲が狭くて、全体的な現在位置の確認にあまり役立たない。全体マップを開くのも、使いづらいアイテム一覧から画面をスクロールさせて選択して開く、という手順しかなく、これまた非常に使いづらい。全体マップはワンタッチで開けるようにして欲しい。(これも、最近では当たり前の仕様ではあるけど。)
キャラ育成は、普通にレベルによる成長オンリーなので、オーソドックスではあるけど単純明快。メインストーリーは、一応考える要素がある。最近のRPGは、メインストーリーは展開にまかせてサクサク進められるものが多くなってますが、TOPは、その時代のRPGらしく、ちゃんといろいろな街で情報収集していかないと、次に進む場所もわからないような感じ。とはいえ、リメイクでボイスチャットが追加されていて、そこで次に行くべき場所のヒントがきけたりもしますが。(これってSFC版ではなかったはず?)
いろんな意味でSFC時代のRPGらしい仕様かなと思いました。いまどきのタイトルに比べちゃうと、やはりちょっとユーザビリティは落ちるかなと。ちなみに、サブイベントですが、いくつか大きなものがあるけど、これらはいつやってもOKなものばかりのようなので、その点は安心。
総評
評価 B
TOPは過去の名作ということで、今回は、面白さ、楽しさを求めるというよりは、TOシリーズの原点に触れてみる、という方がメインの目的でした。多分、リアルタイムでこのゲームに触れていれば、おそらくDQかFF並みの評価になっていたんじゃないかな。最近のゲームと同列に評価するのは酷だと思うけど、逆にいえば、今のレベルでみてもこのくらいの評価ができるゲームだったということです。
もうちょっといえば、やっぱりストーリーかなー。時間を移動するストーリーにする場合、絶対にどこかで矛盾が入ってくるので、それをうまく解消するか、もしくはそれを無効にするような強めの伏線を最初から入れておいた方が良い気がする。
例えば、「時の剣は時間の流れを断ち切ることができる」とか伝承みたいなものを物語序盤に入れておくとか。そこはあまり懲りすぎても逆に陳腐になるのか。やっぱり深く考えない方が良いのかな。(実際、それを遊ぶ対象年齢の子供はそんなこと考えないか。)
とりあえず、シリーズ初作に触れてみて、TOの世界観の黎明のようなものは見えてきた気がするので、今回はそれで満足というところで。